シネマ天国

人の好みというのはまことに不思議なものだ。

例えば「味覚」
自分がこんなに「おいしーい」と思うものがある人にとっては「まずーい」となる。

例えば「音楽」
クラシックを愛する人がいればヒップホップが好きな人もいる。
演歌に心ゆすぶられる人もいればジャズに癒される人もいる。

例えば「男女のタイプ」
最もそれが故に人類は存続しているともいえる、すべての人類の好みが同じなら種の存続は不可能であろう。

食の世界では「ラーメン」がその傾向が顕著だ。

「あの店のとんこつラーメン最高だよな」
「わたし、あっさり系が好きなの、ギトギトは苦手」

逆もまた然り。

「この店の魚介系のスープとダシ美味しいわ」
「いやーオレには生臭くてかなわん・・」

別にどちらかの味覚がおかしいわけではない「好き嫌い」とはそういうものなのだ。

映画を見るのが好きだ。

ペースにすると月に2本程度だが映画館で観る映画は自宅で観るDVDと違い非日常感が心をときめかせる。従って休みの日より、仕事を終えた休日前の気分が高揚しているときに観ることが多い。

年齢を重ねる毎にだんだん涙腺が緩くなり、暗闇の中でボロボロ涙を流すことも多い。人前で泣くのは抵抗があるが、暗闇の中で思う存分泣けるのが映画館のいい所である。
涙には「デトックス効果」があると言われるがあれは真実だ。声こそ上げないが号泣して涙を思い切り流すと、心の中の毒素がすべて出ていき、気持ちが洗われた気分になる。そんな映画と出会えた時は映画館を出た後とても気持ちがいい。

映画代金も決して安くないので何を観ようかはなるべく事前に吟味する。
最近ではネットの映画紹介サイトのユーザーレビューを参考にすることが多い、ただ、このレビューを見るにつけ本当に不思議な気持ちになるのた゜。

今年観た映画の中で僕の人生の中でも「ワースト3」に入ろうかという映画があった(題名は秘する)。
とにかくオープニングからからエンディングまで面白い部分が皆無なのだ!

途中何度となく舟を漕ぎ、それでも高いお金を払っていると思うと(ここはとりあえず後半を盛り上げるための布石かもしれない、いつかは面白い場面がくるだろう)と睡魔と闘い何とか目を開け続けるも、ついに最後までその場面はただの一度も訪れなかった。

ものすごい損した気分になり自宅に帰ると早速ネットのレビューを開いてみた。
この日は仕事帰りに思いつきでシネコンに寄ったため事前調査をしていなかったのだ。
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